設定資料集、ゲームソフト、ファンブック類を高額買取

ポケモンをまるで生き物として読み解く視点で構成された図鑑です。著者は株式会社ポケモン所属の米原善成氏で、行動生態学を専門とする博士。イラストは海洋動物の生態を描き続けるきのしたちひろ氏によるフルカラー描き下ろしです。そのためポケモンと現実の生物の共通点や違いが科学的に示されており、子どもから大人まで新しい驚きを得られる内容です。

本文は四章構成です。第一章ではオス・メスの違いや進化、リージョンフォームなど、身体の形や構造と生息環境との関係を示しています。第二章では餌の取り方や体温調節、昼夜や季節の変化に合わせたリズム、睡眠スタイルを解説しており、生き物としてのリアルな生活が見えます。第三章では協力行動やだます戦略、なわばり争い、群れでの暮らし、人間との共存といった、生態系の中での関係性に焦点を当てています。第四章は走る・泳ぐ・飛ぶといった多彩な移動能力を比較観察し、種ごとの適応の違いを読み解く構成です。

朝日小学生新聞によると本書ではピカチュウの赤いほおや長いしっぽの意味を考察し、アーマーガアとオニスズメの羽ばたき回数の違いをゲーム映像から測定するなど、具体例を交えながら「なぜそうなっているのか」に踏み込んでいます。その分析姿勢によってポケモンという架空の存在を通じて現実の動物にも目を向けさせる役割も担っています。

発売直後には小学館やPR TIMESを通じて表紙デザインも発表され、博士２人による本格的な取り組みと新視点への期待が大きな話題となりました。書店の週間ランキングでは６月１８日発売後すぐに首位を獲得するなど注目度が高い一冊です。

サイズはA5判、192ページで見やすくまとまっています。野生動物の行動観察と同じ技術をポケモンに応用した内容は唯一無二で、単なる図鑑に留まらない読み物としての価値があります。今までの「ポケモン図鑑」の概念を一歩進めて実用図鑑と呼ぶに相応しい視座を得られる作品です。

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