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ロシア音楽の中でも特に壮大なスケールと民族色豊かな旋律で知られる作品です。1998年にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場で上演された舞台を収録しており、指揮はワレリー・ゲルギエフが務めています。演出はエフゲニー・ソコヴニンとイルキン・ガピトフが担当し、視覚的にも音楽的にも高い完成度を誇る公演となっています。

本作は、ボロディンの死後に未完のまま残された楽譜を基に、リムスキー＝コルサコフやグラズノフらが補筆・編纂したことで知られています。しかし、このマリインスキー劇場版では、パーヴェル・ファリエクによる校訂版が使用されており、従来の演出とは異なる構成が特徴です。例えば、終幕ではイーゴリ公の帰還を祝う場面が省略され、再度の出陣を暗示する形で幕を閉じるなど、物語の解釈に新たな視点を加えています。

キャストには、イーゴリ公役にニコライ・プチーリン、ヤロスラーヴナ役にガリーナ・ゴルチャコーワ、ウラジーミル役にエフゲニー・アキモフ、ガーリツキイ公役にセルゲイ・アレクサーシキンなど、実力派の歌手たちが名を連ねています。また、コンチャーク汗役にはウラディミール・ヴァネーフ、コンチャコーヴナ役にはオリガ・ボロディナが出演し、物語に深みを与えています。

舞台美術や衣装は、ポーロヴェッツ人の文化や風習を色彩豊かに表現しており、視覚的な魅力も大きな特徴です。特に「だったん人の踊り」は、ミハイル・フォーキンの振付によるバレエシーンが圧巻で、観客を異国情緒あふれる世界へと誘います。

映像は16:9のワイドスクリーンで収録され、音声はDTSステレオとリニアPCMステレオの二種類が選択可能です。日本語字幕も付いており、ロシア語の歌詞や台詞を理解しながら鑑賞できます。総収録時間は約3時間14分で、2枚組のDVDとして提供されています。

マリインスキー劇場の伝統と革新が融合した舞台として高く評価されており、ロシア・オペラの魅力を存分に堪能できる作品です。特に、音楽、演技、舞台美術が一体となった総合芸術としての完成度の高さは、多くの観客に感動を与えています。

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