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元プロ野球選手で 阪神タイガース に所属していた 横田慎太郎 氏による自伝的エッセイです。幼少期から野球に情熱を注ぎ、プロ入りを果たした若きホープが、脳腫瘍という思いもよらない病に見舞われ、長い闘病生活を経て「奇跡」と称される最後のプレーをもって一区切りをつけた軌跡を綴っています。

本書は「プロとしての道を進むために高校から力を尽くし、ドラフト2位で阪神入り。順風の中で迎えたプロ4年目に脳腫瘍の宣告を受け、18時間におよぶ手術、2年間のリハビリを経て視力の回復が叶わないまま24歳で引退試合に臨んだ」という概要で紹介されています。 著者が最後に見せたバックホームのプレーをタイトルに据え、野球人としてだけでなく一人の青年として「どう生きるか」「どう闘うか」を描いています。

本書の構成では、序章「神様が演出したバックホーム」から第１章第６章、終章「新たなプレイボール」までが配されており、それぞれ幼少期から野球の道、高校野球時代、プロ入り、一軍を目指す過程、突然の病、そして復活と引退試合という流れが丁寧に描かれています。 特に、第４章「闘病」では母親・父親の支えや、弟子であった掛布氏・金本監督らの見舞い、育成契約へと切り替えた期間などが率直に綴られています。

読むうえで印象的なのは、著者が単に病を語るのではなく、自身の「プロ選手としてのアイデンティティ」と向き合いながら、身体が思うように動かなくなった現実、それでもグラウンドに戻ろうとする意思、そしてそれを支える家族・仲間・球団・ファンの存在が交錯する様子です。例えば、手術後、完全に視界を失った時間、その中で「体が覚えていた」動きによって最後のバックホームが成立したという記述があります。

また、野球ファンだけでなく「人生の壁に直面したとき、どう折り合いをつけていくか」「夢を持ち続けるとはどういうことか」を問いかける内容でもあります。巷では、「野球に詳しくない人でも感情が揺さぶられた」「タオルとティッシュを用意して読むべき」といった声もあがっています。

プロ野球という華やかな世界の裏にある、選手自身の葛藤と普通の青年としての悩み・希望・挫折を実直に描いた点です。タイトルにある「バックホーム」という技術的なプレーが持つ象徴性が、最後のプレーとして物語のクライマックスに据えられており、野球という競技を通して人間の強さと脆さ、前を向く力が浮かび上がります。

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