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プロ野球パ・リーグの球団史を振り返るムックシリーズ「俺たちのパシフィック・リーグ」の第6巻にあたる一冊です。発売日は2022年4月18日、発行はベースボール・マガジン社で、チーム史を写真とデータで堪能できる内容となっています。

本書の主軸となる対象は、かつて福岡を本拠地とした球団、クラウンライター・ライオンズおよびその前身・関連時代を含めた活動期です。巻頭では元選手である森田浩康氏によるエッセイ「博多の街と、ライオンズがあったから。」が収録されており、地域と球団との関係性が語られています。インタビュー形式での語りも豊富に掲載されており、例えば土井正博氏の「どこだって、野球は野球さ。」という言葉から始まる座談では、クラウンライター・ライオンズ時代の飾らない素顔が綴られています。さらに、監督・選手として活躍した東尾修氏の「ライオンズには、他の球団にないものがあるから。」という再録インタビューも含まれており、球団の精神性や独自性に迫る内容です。

当該ムックはチームの2年間にわたる公式戦全試合データや、在籍選手名鑑・選手ファイルもたっぷり掲載されています。例えば永射保、山下律夫、倉持明など往年の選手が網羅されており、「平和台野球場／西新合宿所跡」など地元ファンにとっては聖地でもあるロケーションの紹介・巡礼的ページもあります。内容構成としては、まずチームの成り立ちから福岡への移転、そして1979年に所沢でスタートした西武ライオンズへの移行へと至る流れも丁寧に扱われています。「そして獅子は所沢へ。」という章名からもその転換が象徴的に表現されています。 そのため、球団名や所在地が変化したこの時期の流れを理解したいファンや研究者にとっては価値ある記録です。

また、巻末には「赤き炎と「王者の冠」」というコラムが収録されており、クラウンライター・ライオンズ時代の「王冠」という象徴が持つ意味についても掘り下げられています。 このようにスポーツ史としての「記録」と「物語」の両面がバランスよく配置された構成です。

本書を手に取ることで、短期間ながらもインパクトのあったクラウンライター・ライオンズという球団が、どのように福岡の地に根ざし、そして所沢に姿を変えたかを視覚・言語・データの３方向から把握できます。単なる写真集やデータ集を超え、関係者の証言や地域との結びつきにも焦点を当てた一冊ですので、球団史、パ・リーグ史、ひいてはスポーツと地域の関係を探る上でも有意義です。

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