C++やObjective-CやLIPSやPowerShell類を取り扱い

DirectX 12を用いた3Dレンダリング技術の習得を目指すC++プログラマー向けに執筆された技術書です。著者の川野竜一氏は、ゲーム業界での開発経験を持ち、現在は専門学校でプログラミングと数学を教えており、教育現場での実践的な知見が本書に反映されています。

本書は、DirectX 12の複雑な構造を段階的に理解できるよう、基礎理論から応用技術までを体系的に解説しています。初期化処理やポリゴンの描画、テクスチャの適用、行列による座標変換などの基本的な内容から始まり、PMDモデルの表示やマテリアルの適用、リファクタリングといった実践的な内容へと進みます。さらに、スキニングやアニメーション、IK、マルチパスレンダリング、影の表現、SSAOなど、応用的な技術にも触れています。

特筆すべきは、MMDのPMDおよびVMDデータの読み込みとアニメーション再生に関する詳細な解説です。これにより、読者はMMDモデルをDirectX 12環境で表示し、アニメーションさせる方法を学ぶことができます。また、ポストエフェクトの実装についても取り上げられており、リアルタイムレンダリングにおける視覚効果の向上に関する知識も得られます。

書籍内のサンプルコードは、段階的に機能を追加していく形式で構成されており、読者が手を動かしながら理解を深められるよう配慮されています。このアプローチにより、実際の開発現場で遭遇する問題への対処法や、コードの構造を把握する力を養うことができます。

一方で、理論的な厳密さよりも実装重視の内容となっているため、学術的な正確性を求める読者には物足りなさを感じる可能性があります。また、コードの書き方に独自の癖があるため、他のサンプルコードと比較しながら読み進めることが推奨されます。

総じて、本書はDirectX 12の実践的な知識を深めたい中上級者向けの内容となっており、特にMMDモデルの取り扱いやポストエフェクトの実装に興味がある開発者にとって有益な一冊です。

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