平凡社選書、人文系文庫、文春文庫等が査定可能

禅宗の中でも特に影響力のある臨済義玄の教えを集めた作品で、日本だけでなく西洋においても広く受け入れられている禅の理解を深めるための重要な資料です。本書は小川隆によって書かれ、2024年に講談社から発行されました。小川隆は1961年生まれで、駒澤大学総合教育研究部の教授として活動しており、中国禅宗史に関する多くの著作があります。

禅の問答がどのようにして現代の解釈につながっているのか、その過程を詳細に追います。特に唐代から宋代にかけての禅宗の変遷と、それが如何に日本の近代禅理解に影響を与えたかが掘り下げられています。また、臨済録の中でも「仏に逢うては仏を殺し、祖に逢うては祖を殺す」といった表現がどのような意味を持つのかも解説されており、禅の深い理解へと導く手がかりとなっています。

書籍は二部構成になっており、第一部では禅の思想史が、第二部では具体的な「臨済録」のテキストが解説されています。これにより、読者は臨済義玄の教えが持つ哲学的な深さと歴史的な背景を一層理解することができます。

小川隆の翻訳と解説によって、禅が持つ普遍的かつ時代を超えた価値が、現代語訳としても非常に明快に示されています。これは、禅に対する興味がある読者だけでなく、広い意味で哲学や宗教の歴史に関心を持つ人々にとっても価値ある一冊です。禅宗における問答の形式を通じて、普遍的な真理探求の旅が綴られており、読む者に多くの洞察を与えてくれるでしょう。

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