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生物から見た世界の参考買取価格

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[岩波]生物から見た世界

2005年6月に発売です。

[著者や編集者など]

・ユクスキュル

・クリサート

参考買取価格は100円です。

2025年10月20日時点の参考買取価格です。

ヤーコプ・フォン・ユクスキュルおよびクリサート共著の著作を、日高敏隆・羽田節子が翻訳したもので、生物が知覚し行動する世界を「環世界」という概念を軸に考察する書籍です。岩波文庫版は2005年6月に刊行され、約190ページほどの分量となっています。

本書は生物それぞれが持つ主観的な世界像に焦点をあて、外界の存在をただの物理的環境とみなす従来の見方を問い直します。ユクスキュルは生物が刺激を受け取るだけではなく、受け取った刺激を知覚物へと変換し、それに基づいた行動があると論じます。すなわち、行動は単なる機械的反応ではなく、生物固有の知覚世界=環世界を前提としてはじめて理解されるものだと主張します。

たとえば本書冒頭には、皮膚から揮発する酪酸の匂いを感知して血を見つけるダニの例が挙げられます。ダニにとっては哺乳類の皮膚から出るにおいが「信号」として知覚され、それを手がかりに行動するのです。この例は人間にとって意味ある刺激とは異なるものであり、生物ごとに世界の捉え方がまったく異なることを端的に示しています。

書中は章立ても実験例や思考実験を積み重ねた構成となっており、「環世界の諸空間」「知覚時間」「目的と設計」「なじみの道」「探索像と探索トーン」「魔術的環世界」「同じ主体が異なる環世界で客体となる場合」などのテーマを扱っています。これらを通じて、生物にとって意味を持つ対象や方向性、時間感覚、さらにはある主体が別の主体の「客体」になるという逆説的視点までも網羅します。

読者が読了するころには、生物がそれぞれ別々の「世界」を生きながら共存しているという感覚が立ち現れます。人間中心主義的な環境観を揺さぶる思考を促し、動物園や野外で見る生き物をさまざまな視点で再考させる書でもあります。文庫という手軽なフォーマットながら、知覚・意味・行動という生物学と哲学を橋渡しするテーマがさりげなく深い余韻を残します。生物の主観性を真剣に問いたい方にとって、示唆に富む一冊です。

学術書、岩波文庫等の買取について

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