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イノベーション 普及する条件の参考買取価格
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新しいものがただ生まれるだけでなく広く受け入れられ、社会に定着するためのメカニズムを、消費者や企業の選択を手がかりに解き明かそうとする著作です。著者は「摩擦」という概念を軸に、普及を妨げるさまざまな要因を浮かび上がらせています。
この本はまず、「普及しないもの=イノベーションではない」という命題から出発します。どれほど革新的な技術やアイデアであっても、継続的に利用されなければ普及とは呼べず、したがってそれを成立させる条件を考えなければ意味がないと論じられています。第1章では、小売現場を例にとり「摩擦」が普及を阻む典型要因として提示されます。例えば店舗の立地、店長や店員の力量差、物流やサービス網の偏りなどが、消費者が実際にその新しいモノやサービスに触れる機会を制約する装置として機能するという視点が示されます。
第2章では、古典的な「普及曲線モデル」や成長予測の限界を批判的に検討します。消費者は受身ではなく、企業も矛盾なく無為に傍観するわけではないという見方を採り、従来モデルの枠組みを問い直します。予測中心主義から行動経済学的な視点への転換が提案されます。
第3章から第4章にかけて、実質的な普及条件に焦点を当てます。まず「繰り返しの選択」が起きるかどうかが重要だと説かれています。消費者が一度使うだけで終わらず、次の選択につなげられる体験設計が不可欠です。過去経験がどう次回の選択に影響するか、将来を見越した選好変化との関係も論じられます。好みのばらつきをどう扱うか、市場ターゲティングの精緻化、まだ接点のない消費者との出会い方をつくることも普及には欠かせないと指摘されます。
第5章では、変化する消費環境と責任問題を扱います。安全性や信頼性への要請が高まるなか、普及には単なる魅力だけでなく責任を伴う設計が求められると論じられています。デジタル商品や現代的なイノベーション事例を交えながら、これからの時代にふさわしい普及モデルを探る視点が示されています。
この本が提供する洞察の特徴は、供給者視点だけでなく需要者視点から普及の壁を浮かび上がらせる点にあります。イノベーションが持つ価値を魅力だけで語るのではなく、実際に使われ続けるかという「選択の繰り返し」にこそ注目を置いている点が本書の新しさを支えていると感じられます。読者はイノベーション普及を単なる成長曲線の問題に還元する視線を問い直し、普及を阻む摩擦を一つひとつ具体化しながら、どう摩擦と向き合えば普及プロセスを設計できるかという示唆を得られます。
学術書、岩波文庫等の買取について
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