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フランスの哲学者アンリ・ベルクソンの思想を深く掘り下げた作品です。著者檜垣立哉は東京大学大学院人文科学研究科での学びを経て、現在は大阪大学大学院人間科学研究科の教授として活躍しており、翻訳者である杉山直樹は学習院大学の教授です。ベルクソンの主要な著作を通じてその哲学的核心に迫り、読者にその理解を助けます。

ベルクソンの哲学の中心には「生成する実在」の概念があります。彼は伝統的な哲学が固定的な存在を前提としていることに異を唱え、実在は持続的で流動的なものと主張しました。この哲学は後の多くの思想家、特にジル・ドゥルーズに大きな影響を与え、ドゥルーズはベルクソンの哲学を現代に再解釈する重要な役割を果たしました。

本書では、ベルクソンの「直観」という独特の方法論が解説されています。直観を通じて、ベルクソンは実在の持続する本質を捉えることができると説きます。さらに、ベルクソンは「否定性のない哲学」を展開し、これが彼の「生の哲学」の一環として提示されています。生命とは分散する一者としての存在であり、彼の思想は生命の創造的な力と進化に焦点を当てています。

ベルクソンの哲学に興味がある学者だけでなく、広い範囲の読者にとってもアクセスしやすい内容となっており、哲学の新しい地平を開く一助となります。著者による丁寧な解説と、翻訳者の見解が加わることで、ベルクソンの複雑な思想がより明確に理解できるようになっています。

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