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田村佳彰氏が自身のカジノディーラーとしての経験を余すところなく綴った衝撃の暴露記です。著者は日本国内外の合法・非合法を問わず数十店舗にわたりバカラやポーカーのテーブルを仕切り、そこで目にした裏の実態をありのままに描写しています。ヤクザや常習ギャンブラー、覚せい剤使用、イカサマを仕掛ける技術者など裏社会の住人たちが登場し、欲望に押し潰されていく人々の業が生々しく浮かび上がります。裁量の利かないテーブルの裏側で展開する、暴力沙汰や策略が次々と描かれ読者を深い闇へと誘います。

田村氏は固有名詞や地名を一部伏せつつも、自らのディーラー人生約五年間を詳細に回想しています。ディーラーデビューから地方店舗の立ち上げ、さらには組織専属ディーラーへと至る過程は濃密なドキュメントとして構成されており、彼自身が語るトーンは淡々としているものの、その内容の衝撃度は計り知れません。裏カジノに引き込まれた人々の焦燥や混乱、時には死に至る深刻な場面も描かれ、戦慄すら覚える暴露と言える作品です。

本書を通じて浮かび上がるのは、華やかに見えるディーラーという職業の裏に潜む依存性、危険性、心理的緊張、大きなリスクです。読後にはカジノ業界に対する認識が根底から揺さぶられます。田村氏は現在、現場を離れ地方店舗のアドバイザーや輸出業などに携わっており、表舞台には出ないものの現場で培った知見は生々しい筆致によって本書に残されています。

この作品は裏カジノという特殊かつタブーな世界に興味を持つ方には一級の資料となりますが、暴露本としての過激さゆえに読む者の心に深く影を残します。フィクションでは決して味わえない、リアルな緊張感と業の深さが詰まった一冊として高く評価されるべき作品です。

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