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真藤順丈 による同名小説を実写映画化した作品です。原作は、米国統治下にあった戦後の沖縄を舞台に、基地から物資を奪って貧しい住民に分け与える若者たち「戦果アギヤー」の物語を描き、第160回直木賞をはじめ複数の文芸賞を受賞しています。 映画では1952年、アメリカ統治下の沖縄で「オン」「グスク」「ヤマコ」「レイ」という幼なじみの若者4人が、基地襲撃から人生を走らせ、失踪した「英雄」オンの行方を追う中で、それぞれ刑事・教師・ヤクザなど異なる道を歩みながら苛酷な現実に直面していく構成となっています。

主演は妻夫木聡が務め、彼が演じるのは幼なじみのひとり「グスク」です。 グスクは若き日の「戦果アギヤー」として活動し、幼なじみと共に「でっかい戦果」を夢見たものの、英雄的存在だったオンの失踪をきっかけに人生が大きく変化します。甚だしい時代の中で「守るべきもの」を見据えて警察という立場を選び、そこでの葛藤や怒り、そして解放の瞬間を体現する人物として描かれています。

妻夫木本人はこの作品について、「命のバトンをつなぐ物語」であり、自分自身も死生観が少し変わったと語っています。 また舞台挨拶では「誰かの人生や世界が変わるきっかけになれば」と映画の持つ影響力を信じる言葉を残しています。

監督には 大友啓史 が起用され、アクションから時代劇、ドラマまで幅広く手がけてきた実績を活かし、本作では戦後沖縄という歴史的リアリズムと人間ドラマを壮大なスケールで描いています。 製作期間は6年、総製作費は約25億円、沖縄で43か所ものロケを敢行し延べ5000人のエキストラを投入するなど大規模な制作体制が敷かれました。 またポスター3種の公開など、宣伝面でも「宣伝アンバサダー」として妻夫木が全国キャラバンを行い、作品への熱量を前面に押し出しています。

物語が位置する沖縄という舞台には、日本復帰前のアメリカ統治下という特殊な社会構造が背景にあります。「宝島」ではその中で生きる若者たちの「自由を求める姿」「見捨てられた感覚」「理不尽な現実への怒り」などが描かれており、観る者にその時代の空気を体感させる作品になっています。 妻夫木もこのテーマに対して自らの役柄を通じて「歴史を描くことは未来への問いかけになる」と語っており、エンタテインメントを越えて記憶と継承の意義を帯びていると捉えています。

彼にとってグスク役は、単なる演技の場ではなく「自分自身の物語」になったと感じています。死や命、継承というテーマに触れ、言葉では説明し尽くせない感覚が自身の中で生まれたと語っています。 その意味で、この映画は妻夫木聡のキャリアにおいても、演技の幅だけでなく俳優としての在り方を問う作品になっていると言えます。

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