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昭和歌謡の女王とも称された淡谷のり子の魅力を幅広く切り取った作品集です。シリーズ「日本の流行歌スターたち」の第55弾として、2024年５月22日に発売されました。製作・発売元となるレーベルにより、まさに「流行歌」というジャンルを代表する歌手の一人として淡谷のり子の音源が厳選されています。

本作には国内レーベルであるビクターエンタテインメントが保有する録音音源のみならず、かつて淡谷が所属していた他社レーベルや、コンサート・ライヴ録音までも含まれています。収録された音源により淡谷のり子という歌手の生涯、キャリアの「流れ」を追体験できる構成です。

例えば、初期の代表曲として「別れのブルース」「忘れられないブルース」「雨のブルース」といった「ブルース」を冠したナンバーが並び、それらは淡谷が「ブルースの女王」と称された所以を今に伝えています。 また「グッドナイト東京」「貴方は罪な人」「ラ・ヴィ・アン・ローズ」など、多彩な楽曲スタイルが収録されており、モノラル録音のスタジオ録音やライヴ録音まで混在している点も特徴です。

収録時間は約72分を超えるボリュームで、解説・歌詞も付属しており、モノラル／ステレオ・仕様の録音も併せて楽しめる仕様になっています。収録曲の一部には、淡谷がヴァイオリニストの松野迅と共演した1992年のコンサート音源が使われており、歌手人生の「晩年期」の貴重な記録にも触れられる構成です。

監修には音楽評論家の合田道人氏、協力としてキタガワレコードの鐙 政義氏、日本歌手協会の石川 健一氏などが名を連ねており、音源の選定・時代背景などにも配慮が払われています。

淡谷のり子の歌唱スタイルは、クラシックの素養を持ちながらも流行歌に身を投じ、艶やかでありながら哀愁を帯びた声が特徴でした。 本ＣＤを聴くことで、彼女が演歌・ポップス・シャンソン・ブルース風といったジャンル横断的に歌唱していた「歌謡史に残るスター」であったことが改めて実感できます。

収録された音源のなかには、戦前から戦後にかけてのモノラル録音やライヴ音源が含まれており、音質的に「当時の録音をそのまま伝える」ものもあります。音のニュアンス、演奏・伴奏編成、バックバンドのスタイルなどが現代とは異なり、歌唱と録音の時代背景を感じながら楽しめる点も価値あるポイントです。

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