歌舞伎本や落語入門書などを買取

歌舞伎俳優である十八代目中村勘三郎との40年間の交友を綴った一冊であり、著者は浅草の老舗扇子店「文扇堂」四代目店主である荒井修氏です。荒井氏は、勘三郎が生前よく言っていた「僕はいずれは、浅草に住むんだからね」という言葉を紹介しながら、彼との深い繋がりや、浅草での生活、平成中村座の設立に至るまでの経緯を語ります。勘三郎の遺志を継ぎ、江戸時代の芝居小屋を浅草に再現することに成功した「平成中村座」の軌跡を追い、多くの初出写真や浅草の名所紹介を通じて、歌舞伎への愛と江戸文化の粋を感じさせます。

著者の荒井氏は、歌舞伎役者や落語家に多くの贔屓をもつ扇子職人であり、浅草のれん会会長、浅草観光連盟副会長を務めています。彼は絵柄付けから仕立てまでこなすことができる技術を持っており、勘三郎丈の本葬の朝、勘九郎・七之助兄弟に抱かれた遺骨を浅草・隅田公園で盛大な仲見世御輿に見送った人物でもあります。このようなプロローグから始まり、二人の出会いにさかのぼりながら、平成中村座の成功までを綴っています。また、十二代目市川團十郎丈や十代目坂東三津五郎丈など、亡き名優とのエピソードも満載です。

読み終えると、勘三郎丈の芝居に対する情熱や、それを支えた浅草の人々の人情が心に残ります。さらに、表紙の絵は、好江夫人からの依頼で特別に扇子に仕立てられた勘三郎丈の眼を、荒井修さんが描いたものです。本書に掲載された多くの写真は、地元浅草の人々が撮影し提供したものであり、歌舞伎と江戸文化への愛が感じられる「宝物」のような一冊です。

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