テキストブック、スタディガイドなどを査定

本書は日本手話を中心に取り上げ、日常で使われる実用語を豊富に収録して学びを助ける構成です。以前の版から「ツイッター」や「令和」といった新語141語を追加し、収録語数を約10％増やして約3400語まで拡充しています。手話のなめらかな動きがつかめるよう、米内山明宏氏による動作を参考に、ポイントを的確に捉えたイラストで解説している点が目を引きます。こうした工夫は、動画で流れを把握したり、本を開いて細部を確認したりという二段階の学習スタイルに対応しています 。

手話と日本語対応手話の違いやろう文化、さまざまなコミュニケーション手法などの基礎を解説した導入パートがあり、その後に手話文法の基本を取り上げています。巻の中心は五十音順による手話辞典で、単語ごとの使い方例や熟語も豊富に収録されています。さらに巻末には「単位」「家族」「病院に関する単語」など、特定のテーマに沿った固有名詞を集めたテーマ別単語集を備え、必要な場面に応じた参照がしやすくなっています 。

両手が自由に使えるように「パカッと開く」開きやすい製本が採用されており、コンパクトなB6判サイズで持ち運びにも便利な仕様です。軽くて扱いやすいため、学校や学習現場での実用にも向いています 。

米内山明宏氏は手話工房代表であり、元手話文化村の代表です。東京都出身で、日本ろう者劇団の代表を務め手話狂言や創作劇の発表に力を尽くしてきました。さらに日本で初めて、ろう者の母語である日本手話で教育を行うろう学校「明晴学園」の理事長も務めた人物です。こうした豊富な現場経験が、イラストや解説に活かされています 。

また、国際手話を取り入れた「おもてなしの手話」コーナーが新設され、「世界の国からこんにちは！」と題して、言語や文化の壁を越える実用表現として工夫されている点も特徴的です 。

本書は手話初心者だけでなく、すでに学んでいる方が表現力を高めるためにも適した辞典として設計されています。約3400語という収録数は重みのある読み応えを示す一方で、軽量で扱いやすく、実用書として重宝できるバランスが取れているところに独自性があります。

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