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1963年にハノーファーで録音された音源を使用し、2021年5月19日に日本のユニバーサルミュージックから再発売されたものです。収録内容は「3つの間奏曲 作品117」「6つの小品 作品118」「4つの小品 作品119」であり、合計13曲、演奏時間は約50分に及びます。フォーマットはSHMCD仕様で、ルビジウム・クロック・カッティングによる高音質が特徴とされます。

ブラームスの三つの間奏曲作品117は1892年の作曲で「悲しみの子守歌」とも呼ばれる詩情豊かな作品群でございまして、変ホ長調・変ロ短調・嬰ハ短調という調性による深い感情の波が感じられます。 ケンプ自身は詩的な表現を重視し、安易な形容詞に頼らない音楽作りを心掛けたと評価されており、この作品群においてもその姿勢は顕著です。

間奏曲やロマンツェ、バラードなど多彩な楽想に富んだ作品であり、特に第1、2、4、6曲にはいずれも間奏曲が配され感情の繊細な起伏を描き出しています。 ケンプの演奏は間奏曲の内省的な静けさとバラードなどの動的な表現との繋がりを自然かつ滑らかに聴かせ、批評家からは「全体が丸い球体のようにまろやかに有機的である」と評されたほどです。

第1から第3曲が間奏曲形式で、第4曲は狂詩曲となっており、内省的な静けさから激情へと至る流れが際立っています。ケンプはこれらにおいても一貫した詩的世界を保ちつつ、楽曲ごとの色彩の違いを明確に響かせています。

評論家や聴き手からは、ケンプのブラームス演奏が「長い熟成を経た古酒のように豊潤」「渋味がなく瑞々しく芳醇」と形容され、ケンプの人間性と音楽観が深く結びついたブラームス像を示した録音と高く評価されています。

ブラームス作品の深い内面を丁寧に描き出すケンプのアプローチは、間奏曲の瞑想的な美と対照的な小品群の表現力とのバランスに優れ、心に残る演奏体験を提供します。聴く者を静かな感動へと誘う録音であり、演奏史における一つの到達点とも言える作品集です。

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